はねけんのこだわり
はねけんの好き嫌い
1.手刻みで木組みの家をつくるのが本当の木の家だと思う
1本1本の木を見極めて骨組みと意匠を整えるのが大切。
2.墨付け手刻みできる大工を本当の大工と呼びたい
木の家のもっとも重要な骨組みを自分の頭と手で作り上げるのが大工だと思う。
3.日本の木をちゃんとした方法で使う
高温乾燥材は使わない、接着剤で貼り合せない、適材適所も大事な作法。
4.専属大工を抱え育てる
施主の為にはもちろん大工技術を未来に継承したいから、またリフォームには本当の大工技術が必要。
5.日本という風土に合った家のあり方にならう
軒の出、土壁、障子、土間、格子、漆喰…こうしたものは日本の風土から生まれ、すべてに“そうであるべき”という意味がある。
6.パッシブデザインを考える
昔から受け継がれてきた夏の知恵(風通しと日除け)に集熱と適度な段悦を組み込んで冬の備えとする。
7.木と土が好き
柔らかい、優しい、温かい、古びない、そして家には庭(土)があり緑(木)があるべきと思う。
8.力を集中させない木組みの流れとバランスを考える
数値評価の前にもっと大事にすべき、構造の在り方がある、それが力を素直に流す木組みと建物のバランス。
9.シンプルで美しいデザインがいい
そこに暮らす人の居心地を中心に据え、支線・空間・素材・かたち・色・動きなどを考えると“シンプルで美しい”にたどり着くと思う。
10.現代的なニーズを上の9つにうまく組み込む
きっと人の本質は変わらないが社会や暮らしは時代とともに変わっていく、自分たちのこだわりやいいと思う事を守りながらその変化に対応するのがプロだと思う。
はねけんの好き嫌い具体例
好き嫌いというだけでは片づけられないこともあります。わかりやすくとてもシンプルな表現として使っています。
木が好き
新建材が嫌い
技術のある大工が好き
誰でも現場にいれば大工と呼ぶことが嫌い
国産材が好き
高温乾燥が嫌い
土が好き
ペタペタ貼っただけのものが嫌い
手加工が好き
機械に頼りすぎることが嫌い
人の手(気持ち)が入ったものが好き
簡単に流されたものが嫌い
シンプルなデザインが好き
コテコテデザインが嫌い
格子が好き
構造に負担をかけるデザインが嫌い
軒の出がたっぷりある家が好き
日本の風土を知らない家が嫌い
見た目も機能も障子が好き
高気密が息苦しい
素朴な丸太が好き
何でもかんでもバリアフリーが嫌い
職人が好き
数字による評価ばかりすることが嫌い
山から始まる
山から始まる木の家づくり
「木造建築をするという事は「木を見る事から仕事が始まる」、「木を見る」ということは「山を見る」ということ。
出来るかぎりいろいろな山へ足を運び、様々な木を実際に目で見ます。
「まず、山へ行こう」そんなところから始まる家づくり。木造建築の主役は何と言っても「木」にあります。
家を建てる人も自分の建てる家に使用される木が「どこのどんな木なのか」を知って家づくりに積極的に参加していただきたいと思っています。
吉野ツアー
木の家づくり まず山へ
木の家づくりを考えるなら、まず山へ行って感じて欲しい。木の家の一員となった柱や梁の一本一本が生まれ、育てられ、製材された吉野の山へ行き、目で見て肌で感じて欲しいと思います。吉野の杉の魅力をより身近に知っていただきたいと願っています。
吉野での感動は体験した人にしかわからないものがあります。木の家づくりはまず山へ!
春には「歴史の証人へ会いに行く」 人の手で400年育てられた杉を少し山を登り見に行くというツアー
秋には「木の家の柱や梁が生まれたところ」 吉野杉の間伐伐採を見学するツアー
2013年秋は、山での伐採 木を製材し、材として加工場で刻まれ、家づくりに使われたところまで。いつもはもくもく館で見る流れを今回は一通り見て体感できるツアーとなりました。
木にこだわって家をつくっている
木の香り、暖かさ、柔らかさ…それらに包まれて生活する喜び。そんな木のことをもっと知って欲しくて建主たちと山へ行く。100年200年と気の遠くなるような歴史の中で生きている木々。それを守り育てている代々の林業家たち。
家づくりのスタート
建主と木との共存の始まり
建主に性格や好みがあるように木にも個性やクセがあります。
生きてきた歴史を感じ認め合う事。この出会いが家づくりのスタート建主と木との共存の始まりです。
建主の要望を聞き、土地を調べて私たちは間取りと木組みを考えます。
土地と生活スタイルに合った美しい木組み、これが羽根建築工房の設計の特色です。
建主の家族のためだけの、
その土地ならではのプラン
私たちはいつも1つのプランを提案します。
でも、要望に合わなかった場合は再度プランを練り直し、また新たに1つのプランを提案します。
建主の家族のためだけの、その土地ならではのプラン。
私たちが自信をもって造らせていただきたい唯一のプランを求めて何度でも。
家はシンプルな方がいいと考えています。素材そのまんまの良さを気取らずにおおらかに包み込むように造れば、彩りは生活が与えてくれるから。
あなたの住まわれている家は
わたしたちもお気に入りの家
そんな家を建主と一緒に造って行きたいと思います。
建主とわたしたち、建主と木が出会い、これから一生のおつきあいが始まります。
家が完成してからも私たちはちょくちょく顔を見せにお伺いする事でしょう。なぜなら、あなたの住まわれている家はわたしたちもお気に入りの家なのですから。
大工の手で木を刻む
~手刻みによる家づくり~
羽根建は手刻みにこだわって家づくりをしています
家づくりに使う木材は、大工さんがすべて加工するのが当たり前。もしかすると、こんなふうに思っている人が多いかもしれません。
でも現実は違います。とくに構造材と呼ばれる建物のフレームになる木材のほとんどは、プレカット工場と呼ばれる工場で加工されて建築現場にやってくるのがここ10年くらいで(2000年頃から)急速に当たり前になってきました。
こうした「工場プレカット材」にもよい点はあると思いますが、私たち羽根建築工房は「大工による加工(手刻み)」にこだわっています。その理由を以下に述べます。
左官仕事
左官は材料をつくることから
「左官仕事って言うのは”奥深いで~”。大工仕事より奥深いかも…」
これは羽根代表の口からこぼれた一言です。「左官屋は材料をつくることができて一人前」とはベテラン左官職人の一言。気候や天候によって、水加減等や乾き具合が変わる…。そして、それによって、色の変化さえも起こってくる…。全てを把握しきれるものではないこの「左官仕事」。
機会があればあなたも一度体験してみませんか?
以下、当社で行った左官に関してのさまざまな試みを掲載しております。
砂漆喰をつくる
八尾の現場(ほたるの里の家)にて、昔ながらの製法で本格的な砂漆喰用漆喰をつくり使用しました。
STEP 1
乾燥角又を水につけ、糊を出します。水につける時間が長ければ長い程乾燥角又の固形部分がどんどんなくなっていきます。
STEP 2
ドラム缶に上記の角又を溶かしたものと水に溶かした粉末糊(粉ぎんなん)とにかわを入れ、水を足しながら煮ます。粉末糊はさらに粘性を強化するために入れます。
STEP 3
糊の煮益を4mm目の篩(ふるい)に通して、ほぐした麻スサに混ぜます。残った糊のカスは再度釜に入れて煮返します。
STEP 4
煮液に麻スサとガラスウールを混ぜます。麻スサは大きなクラック防止のため、ガラスウールは小さなクラック防止のためです。割れを防ぐため麻スサを入れる際にも糊を利かせないとスサが上手く付着しません。
STEP 5
消石灰を篩(ふるい)に通します。塊になった石灰の粒は取り除きます。消石灰に糊スサを混ぜ、練上げて漆喰を作る事は左官の原点です。
STEP 6
壁が仕上がった後、雨水をはじかせるためオイルを入れます。
STEP 7
鍬、攪拌機でよく練り、スサの混ざり具合と柔らかさを調整して漆喰を作り上げます。
左官体験
施工物件
「おおきな屋根の小さなお家」
こちらの物件(おおきな屋根の家)はお施主様のご厚意で一般の方に実際の現場で左官体験をしていただく機会を与えていただき、2004年月4月4日~10日の一週間、延べ14人の方に左官体験をしていただきました。みなさん、お疲れ様でした!
左官体験者感想
体験者Sさんより
左官という仕事、本当に難しいですね。なかなか体験させていただけないことをさせていただき、非常に私にとって勉強になりました。城下さんには足手まといなことでご迷惑おかけしたと思います。施主にも申し訳ないです…。たった一日しか参加できないこと、申し訳ない気持ちと残念な気持ちでいっぱいです。
また、このような機会がありましたらご連絡ください。そして、見学会なども是非、見せていただきたいのでご連絡いただけたらうれしいです。
体験者Uさんより
御陰さまで貴重な体験ができました。やってみないと分からない。設計者おおいに現場へ行くべし。
体験者Iさんより
この度は左官体験をさせていただきありがとうございました。正直、仕上がり塗りまでやらしてもらうとは思っていなかったので、お施主さんに対して申し訳ないという気分もありましたが、そうやって一つの壁をまかされたことで作業し始めた頃に比べて少しは上達したと思います。また、作業にはいろんな方が手伝いに来られて素敵だなと思いました。きっと昔の家作りってこういった感じだったのかなとも少し思いました。左官はまだまだ材料や仕上げ方もいろいろあって奥深いですが、それでも大変勉強になりました。自分の家を建てる時は参考にしたいです。
体験者Kさんより
春のポカポカ陽気の日、楽しい体験ができました。コテを持ったのは生まれて初めてで、1枚目は本当にお施主さまに申し訳ない仕上がりでした。しかし、3枚目では少し腕も上がったのではないか…?!と。3日くらい行きたかったです。けっこううまくできたと思っていてもその後、やりなおしてもらうとやはり私のところはムラムラだったとわかり、城下さんの手がまほうの手に見えました。生まれ変わったら左官業もいいな~…と、春うららかにのんびり仕事しているみなさんを見て思いました。しかし、こんな日ばかりじゃないですよね。夏も冬もあるし…。おいしいところばかりさせて下さってありがとうございました。
体験者Sさんより
力加減がむずかしかったです。自宅も漆喰を友人たちと塗りましたがコテむらも味!とけっこう気楽にできましたが(自分ちですし)今回の壁はきれいに仕上げていましたし、二度塗のむずかしさで、仕上げをプロの方にしてもらいました。時間もあまりなかったのですが、もっとプロの方のやっているのをじっくり見せて頂いてからやればよかったかなと思いました。お手伝いどころか足手まといだったのでは?と冷や汗ものです。
体験者Fさんより
初めて左官仕事を体験してみて、単純な仕事というイメージから奥の深い仕事というものに変わりました。角の角まで神経を行き届かすし、壁と一体化になっているような気がしました。一日だけでしたが、初めはすぐ腕が痛くなりでこぼこだった塗り方も最後の方は、コツもわかってきて時間はかかるけれどでこぼこもだいぶ無くなるようになってきました。一度はまったらとことんやりたくなるような仕事だと感じました。貴重な体験どうもありがとうございました。
体験者UEさんより
先日は楽しい建築施工見学会をありがとうございました。左官の経験も楽しくよくぞお施主さんの了解が得られたものとびっくりしながら最後は大胆に開き直って塗っておりました。出来上がりはハズカシイものですが、全体の雰囲気から云えばこんなものかなと納得して帰りました。低気密の住まいがどこまでお施主さんに理解と納得が得られるものか今後の経過を楽しみにしております。
竹小舞の上に荒壁を塗る
「荒壁土作り」
古民家解体時に出た土壁を新たに練り返し、他の物件の外周部の壁に使用しました。
土は地方によって粒子、粘性等が違うため、その場所の風土に見合う土があります。
今回は解体現場と新築現場が近いこともあり、風土に見合った土をつくることができました。
STEP 1
固まった土をほぐすのに、手や足では大変なので、ユンボを使って細かく砕きました。
STEP 2
細かくした土には瓦の破片や大きな石が入っていた為、ふるいにかけて不純物を取り除きました。土埃がすごかったので、水をかけながらの作業となりました。
STEP 3
新しくいれた藁は無農薬藁を使用しました。道具は押し切りと呼びます。藁は6センチ~10センチに切りました。
STEP 4
藁をたくさん入れながら、足で踏み練ります。足で踏めなくなってからは、最終ユンボでかき混ぜ練りました。
STEP 5
建材屋さんで寝かしてある土を混ぜ合わせました。
STEP 6
最後は散水して土を寝かしておきます。
STEP 7
練り終わった頃は泥だらけになりました。
STEP 8
いよいよ塗り付ける日。寝かしておいた土を運ぶ前に、備中で藁の分量や土の固さを調整して練ります。
STEP 9
土さしと呼ばれる道具で土をこて板に投げます。
STEP 10
厚みは片面3センチほどです。
STEP 11
裏側は竹からコブ状に土がめり込んでいます。竹小舞と一体になるように裏側にめり込んだ土を少し水が引いてからコテで撫でておきます。
STEP 12
壁が乾いた後、裏側を塗ります。このことを裏を返すと呼びます。